• Masayoshi Konishi

中国子連れ留学⑨

(9)子供に甘~い中国人



しかし怒ってばかりの中国ではなかった。

面白いと思ったこともある。

たとえばやっと歩けるか歩けないかの娘を抱っこ紐で前に抱いて歩いていたとき、私の両手が空いているのを見た人々はいつも不思議そうにしていた。

バスの外を自転車に乗って走っていると、車中から発見した乗客が一斉に振り向き、かなり遠く離れても大勢の視線が私たち母娘の姿を追っていた。

 


町を歩いていると、「コートの中は一体どうなっているのか?」と尋ねてくる人がたくさんいた。

車中の人も街行く人々も、赤ん坊がどうやって母親にぶら下がっているのか不思議で仕方がなかったのであろう。

コートを開けて種明かしをすると、「ヘェ~???」と言いつつお決まりのコースが「こんなに薄着させて『冷啊!(寒いわよ~!)』」と口々に出てきた上海語。

耳にたこが出来るほど聞かされたこの言葉は、覚え初めの上海語のひとつである。

この子供への甘やかし(愛情?)は、習慣の違いからくるものだった。

日本では幼児には大人より一枚少なく着せるというのが常識になっているが、中国では子供を大事にするあまり、大人より2、3枚多く着せるのが当たり前だったのである。

SS氏には、娘より半年大きい女の子がいた。

そこへ遊びに行ったときのこと。

薄着の娘は1歳でヨチヨチ歩き始めていたが、1歳半のSS氏娘は上にも下にも一杯着せられ、ベッドの上に「ダルマ」のようにちょこんと据えられていた(そう、物のように置かれている感じ)。

ところがゴロ~ンと倒れると着膨れしすぎて起き上がれない。

「うぇ~ん!」と泣き出したその子はまさに『だるま』だった。

それなのに4、5枚重ね着させられているパンツの股はパックリ割れていて、風がスースー入ってくださいと言わんばかり。

そしてその子の親や祖父母達は、「日本の子は歩くのが早いね~」と感心しているが、「あんなに着ていたら誰も動けないよ~!」と女の子が泣き叫んでいるように聞こえたのは私だけだろうか。



習慣といえばこれも何時も見る光景。

それは中国人が部屋の中でも立って食事をすることだ。

当時中国に駐在する家族はお手伝いさん(俗称「阿姨(アイ)」と呼ぶ)を雇っていた。

雇わなければならないという外務省のお達しもあったそうだが・・・。

私は駐在員妻として中国に渡ったわけではなかったが、生活も10日余りが過ぎたころ、小さい子を抱えて先生宅に行く事は出来なかったので、ベビーシッターとして阿姨(アーイー/おばさん)にきてもらうことにした。

彼女は人のいいおばさんで、子守以外に洗濯・食器洗い・掃除(ベッドメーキングはホテル側がしてくれた。当たり前のことだけど)などもしてくれた。

そして阿姨は毎日おかず(いため野菜一品)とご飯といったお弁当を持ってきていたが、食事が始まると、彼女は何時も立って食べる。

「この国は中国だけど、この部屋は今日本の習慣だから座って食べなさい。」と席まで用意してもやはり毎日立って食べる。どうやら座って食べるのは慣れていなかったらしい。

今では座って食事をするが、忙しかったりすると人によっては立って食べている。

職業・身分・地位にかかわらず中国人が立って食べる姿は至る所で目にしたが、なぜ立って食べるのかを理解するにはあまりにも短い滞在期間だった。

そのことは次の留学のときに分かった。

また、娘は、母親の作る日本食よりも、阿姨がお昼に持ってくるチンゲン菜炒めぶっかけ飯が美味しらしかった。

チンゲン菜の下にあるご飯は、前日に食事して残ったご飯だった。

しかも、便器の真横のゴミ箱に捨てたご飯を、阿姨が持ち帰っていることを知り、我が子が好んで食べているのにショックを覚えた。

そこで、阿姨に「残飯はあげるから、ゴミ箱から拾わないで!」とお願いし、その日から残り物は全て阿姨に持ち帰らせた。

母親としては複雑な心境だった。


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